建設業で就労するのは男性の割合が多く、女性は決して多くはない業界です。
建築業界で、女性の活躍を促進させるためには、積極的な採用はもちろんですが女性が働くのに適した職場の環境づくりが重要です。
そのため、業界全体で労働環境の改善と職場における良いイメージづくりに努めようとしています。
本記事では、建設業界で働く女性が活躍することの必要性と、就業を促進するためのポイントや注意点を解説していきます。
目次
1-1 女性入職者数と女性活躍職種
2-1 職場の環境とは
2-2 女性活躍の課題
3-1 建設業界で行う施策とは
3-2 建設業の女性リーダー育成について
■建設業で働く女性の現状
厚生労働省「労働力調査」にて、建設業の女性就業者数と女性比率の推移を見ると、2012年に70万人だった女性就業者は2020年に82万人に増加しており、女性比率は13.9%から16.7%に上がっています。
建設業全体を見ると、最近就業者数自体は減少していますが、その中で女性の就業者数は徐々にではありますが、増加傾向にあることがうかがえます。
これは、女性労働力のニーズが増え、女性の能力を建設業で活かしてもらいたいという期待の表れかもしれません。
◇女性入職者数と女性活躍職種
女性就業者数が増えたと言っても、男女比率で見ますとおよそ男性の方が6倍近く多いのが現状で、建設の仕事は男性が就くものというイメージは変わらないような気がします。
しかし、そのような男社会に果敢に飛び込み、働く女性が増えているのは、文部科学省の「学校基本調査」の最新データを見ても明らかです。
大学新卒で、建設技術者として就職する女性数は、2012年の1,846人から2021年には4,053人に増加しており、女性比率は2021年には23.1%に上昇をしています。
新卒で建設技術者として就職する女性が、この調査からも増加していることが分かります。
その要因のひとつとして、「建設業」イコール「力仕事」というイメージ、つまり体力に自信がない人が就労することは難しいというイメージが、必ずしもそうとは限らない現実があるからではないでしょうか。
実際、他の業界と同じく建設業にも、仕事を行うにあたって体力に関係なく、女性視点のアイデアを活用して働くチャンスのある職種があります。
それが、力仕事ではない女性が活躍できる仕事、その代表的なのが、建築士、施工管理、CADオペレーターという職種です。
その他にも、建築積算士、リフォームプランナー、インテリアデザイナー、BMIオペレーターなどがあります。
これらの職種は、丁寧な作業と計画的な行動力、そして美的センスなどを上手に活用することで成し遂げられる職種です。
そういう意味では、力よりも女性の感性が活かされる職種とも言えるでしょう。
■建設業界で女性がより多く働くため環境とは
建設業には力が必要な男性社会の仕事という固定概念が、どうしてもぬぐい切れない現実もあります。
しかし、そうした環境をイメージされたままですと、男性社会では「出産と育児の両立が難しそう」「性別で役割分担する意識がある」「セクハラやパワハラがありそう」など、女性が働きにくいと多くの女性は感じられることでしょう。
◇職場の環境とは
女性が、建設業で働きにくいと感じる要因はいくつかありますので、下記に紹介していきます。
建設の現場では、一般的に仮設トイレが敷地内に設置されますが、現場の敷地の関係もありきちんと囲いを設けた女性専用のトイレの設置が難しい場合があります。
大型のビルや高層マンションなどの現場以外は、基本的に仮設トイレを設置する場所は狭く、1~3台くらいしか設置できないことが多く、それも男女共用になっているのが現状です。
また、更衣室や休憩所も女性専用の設置が不完全で、女性が快適に働けるような環境整備がまだ整っていないという現実があります。
◇女性活躍の課題
女性の労働環境の整備が万全でない現状から、建設業において女性活躍を推進するには、それらの問題や課題を企業ごとに調査し解決策を講じる必要があります。
その一例を挙げますと、トイレや更衣室などの環境整備、仕事と家庭と両立するフォローアップ体制、子育て中の女性のために託児先との契約、休業期間中の代替要員の確保などが挙げられるようです。
■女性活躍に向けての取り組み
建設業界で、女性の就業者の増加を推進している国や企業も、現在様々な取り組みをしています。
たとえば、女性就業者の定着支援として、国では「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」と題した活動を行い、日本建設業連合会では「けんせつ小町活躍推進計画」などを実施しています。
「けんせつ小町」では、建設業界で女性が働きやすく、働き続けられる労働環境実現のために活動しています。
「けんせつ小町」の活動の一環として、YouTube、Instagram、Facebookなどの各種SNSで最新情報を発信しています。
女性の定着支援へのために、労働環境の改善、仕事への取り組み方などの施行、就業女性同士の交流会など、定着するための環境作りに効果を発揮しているようです。
◇建設業界で行う施策とは
女性が建設業界で快適に働くためには、現在の労働環境の整備をハードとソフトの両面から、取組んでいく必要があります。
ハード面では、建設現場の男女別トイレ、男女別の更衣室、休憩所などの整備です。
また、建設現場の資材や工具類の重量など女性に負荷が大きいという課題には、可能な限り女性には、軽い資材の取り扱いなどの作業という分担を行うことです。
ソフト面では、長時間労働や休暇取得への支障が出ないように、工期分担をきちんと確認しスケジュール調整を行うことで対策していきます。
その他にも、短時間勤務制、フレックスタイム制の導入で、柔軟な勤務形態の整備も重要ポイントです。
自身の技術や技能の向上は、キャリアアップに繋げられる方法ですから、女性に限らず建設業で働く全員に、技術取得や能力向上をサポートする体制も必要でしょう。
すなわち、就業者全員が仕事のやりがいや、生きがいを感じられる労働環境の整備の確立が就業者定着にも重要ということです。
◇建設業の女性リーダー育成について。
現在、国土交通省では、建設現場の女性リーダーをより増やすたに、経営者やマネジメント層への理解醸成のために、ロールモデルとなる企業に対して、女性リーダー育成と現場における女性活躍に向けたコンサルティングなどを行っています。
また、それだけではなく、勤務する女性社員や女性リーダー候補、そして経営者を対象に合同研修を行なっています。
研修内容は、現場での指示出しの方法やその手順、リーダーが備えるべき資質などを、実践形式で学べられるようなカリキュラムになっています。
こうした研修の成果として、建設業における女性管理職の割合は、2021年8月時点で6.1%と過去最高となったようです。
■まとめ
建設業の仕事環境は、男性社会だからどうしても女性は働きにくい、セクハラやモラハラが多いようなのでネガティブな気持ちになると言った、イメージが付きまとうようです。
しかし、最近では国や企業の取り組みにより、女性の就業者はこの10年間増加しています。
少しずつではありますが、建設業界自体が女性の働きやすさとやりがいを両立できる環境を整備し始めた効果かと思います。
建設業の仕事は、現場での力仕事だけでなく多岐にわたっており、たとえば建築士、施工管理、CADオペレーター、BIMオペレーターなど、女性に向いている職種も色々とあります。
それぞれの職種で、実際に活躍している女性も多くいらっしゃいますので、建設業への就業も職業選択に入れてみてはいかがでしょうか。
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